2023年4月9日

<第998話 安心起行>

こんばんは♪

法然上人ご法語(後編 第八章)に

安心起行(あんじんきぎょう)」があります。

其れ浄土に、往生せんと、思はば心と行との、二つ相応すべき也。

かるが故に、善導の釈に、但し、その行のみ有るは、行即ち、一人にして、又、至る所無し。

只その願のみ有るは、願即ち、虚しくして、又到るところ無し。

必ず、願と行と、相助けて、なすところ、皆剋すといへり。

およそ、往生のみに限らず、聖道門の、得道を、求めんにも、心と行とを、具すべしといへり。

発心修行と、名付けるこれなり。今此の浄土宗に、善導の如きは、安心起行を名付けたり。

「安心」は、一般的には「あんしん」と読んでいます。

では

「あんしん」と「あんじん」とは、何が違うのでしょうか?

法語の最後にも書いてありますが、

この安心起行(あんじんきぎょう)というのは、中国の善導大師が名づけられました。

まず

極楽浄土に、往生するためには、

「極楽に往きたいと願う」ことと

「実際に行動する」こと

この二つが必要です。

これは

どんな目標を達成することにも言えますよね。

目標をたてて

努力する。

目標だけでもダメだし

やみくもに努力だけをしてもダメ。

目標を定めて、そこに向かって、正しい努力をすることが

大切です。

☆☆

先日、「ブルージャイアント」という映画を観ました。

仙台に住む主人公の青年は、高校からジャズに魅せられ、世界一のテナーサックスプレーヤーになろうと、毎日、毎日、寒い雪の降る日も、練習に励みます。

高校を卒業して、東京へ出て、仲間を見つけ、東京で一番、格式の高いジャズのお店での演奏を目標に日々、取り組み、為しえていくという話です。

ちょっと簡単に書きすぎていますが。。。

(>_<)

主人公の青年は、ステージに立つ時には、「自分は世界一だとおもって、恐れず思い切り、その時の精一杯をつくしています」その心のあり方は、本当にすばらしいです。

「自分は、世界一のサックスプレーヤーになる」という願い

「毎日、毎日、練習に取り組む」という実践

この二つで、ドンドンと目標に向かって進んで行きます。

原作のコミックも映画も、とても素晴らしいです。

オススメです。

☆☆

コノ世での夢・目標を達成することは、とても意義のある大切なことですが

たとえば、オリンピックで金メダルを獲得すると、そのあと燃え尽きる方も居られます。

コノ世は、泡沫(うたかた)の世界。

諸行無常の世界。

コノ世での一時の心の安らぎの状態を

安心(あんしん)と言っているのだとおもいます。

それに対して

安心(あんじん)は、死んでからもずっと続いて行くもの。

私の「心」を

仏さまの願いの中に、「安」置する。

それが「安心(あんじん)」です。

安置すると→安定して→安楽(お浄土の生活)になる。

それは、一時的なコノ世的なものではなく

死んでからもずっとつづくものです。

身体があるだけが人生だとおもって、生きていくのと

人生、身体がなくなってからもあるとおもって生きているのでは

通過地点の力が違いますよね。

100m走で、100m丁度で止まるのと

100m走りきったあと、徐々にスピードが落ちて120mぐらいで止まるのとでは

100mを通過するときの早さが違うと同じように。

(*^_^*)

念仏行は、安心を得るための

すばらしい行です。

与えられたこの人生を精一杯生きる、生き抜くためにも

念仏とともに、安心の中で、すごしていきましょう。

今日も

ご覧下さいまして、ありがとうございました。

花冷えとも申します。

お身体にお気を付けてお過ごし下さい。

ご機嫌よう!

けいくう

☆☆

おじひの中に いさぎよく つとめしつかれ こころよき

  感謝に心 みちたらい やすむおじひの ひざの上

微妙荘厳(みみょうしょうごん) 無辺際(むへんざい) ひれ伏し拝む 尊さに

  不思議ごころの 新天地 澄みし流れの 路(みち)かわる

                    (田中木叉上人道詠)