2023年4月2日

<第997話 能面の世界>

こんばんは♪

神戸は、この週末まで、桜がとてもキレイです。

昨日や今日など、お参りにでかけていますと、風に花びらがチラチラと待って、なんとも言えず、風流でした。

日本を代表する桜花。

咲き誇る!

日本、すばらしいですね。

(通照院の桜です)

今日は、そんな日本の伝統文化の一つ、能面の話を書きます。

先週

ご縁があって、能面を打つ先生のところへお邪魔しました。

現代では

能面を制作するのは

手本となる本面というオリジナル面に

いかにソックリなレプリカ(模造品)を作ることなんです。

本面のサイズを20以上の紙型を使い、檜材を彫っていきます。

そして

彩色していくのですが、

色だけでなく、キズや汚れを出すのに、何日もかけて少しずつ少しずつ本面に近づけていく

その作業の細やかさに、感歎しました。

また、裏面も能役者のことをおもい、彫られる作者の気持ちが表れていることを知り、感動しました。

ですが、、、

なぜ、レプリカばかりを作って、自分で創作しないのでしょう?

それは簡単に言うと

本面を超えるような面が出来ないからです。

何もないゼロの位置から1に行くのは、どの分野でも本当に難しいですよね。

それに比べると

1から2は、コピーすればいいので、それでも難関ですが、ゼロから1よりは、はるかにハードルが低いです。

能面が作られはじめた室町時代、そして安土桃山時代、江戸時代は

将軍や大名などの権力者が、スポンサーでした。

能面師は、製作した面を大名などに献じて、大名はそれを気に入った能役者に贈っていたと言われています。

能面師に限らず、能楽師も、その他の文化を継承していた方々も

それこそ、自分の技巧に命がけで、取り組んでいました。

誇張ではなく失敗すれば、

気に入ってもらえなければ、

死が待っていたかもしれません。

そして、誠心誠意取り組み、考え尽くして、秘かなワザを生み出し、自分の作品や芸術性を高めていきました。

残念ながら

職人技が、今はどんどん失われていっている現代では

その完成度に、まさるものを、今、作成するのが難しいからです。

ですが、レプリカを作ることを通して、過去の方が到達した境地に近づける。

先ずは、そこを目指し、そして、超えていける方は、創造していくとなるのですが、

最新の技術を持ってしても、そうは簡単に、超えていけないです。

人が、苦労して、考えて、工夫して、失敗にめげずに、積み上げていったもの。

そのすばらしさを

能面を通じて、学ばせていただきました。

能楽は、30年以上稽古していますが、能面については、ほとんど無知でしたので、月1回ぐらいのペースで何回かお邪魔して、勉強していきます。

先日は、翁面(おきなめん)と尉面(じょうめん)について、教えてもらいました。

その中から、一つ、二つ。

尉面は、お爺さんの面ですが、昔はお爺さんやお婆さんが神さまの言葉を伝える役をしていたんです。

尉面の中で歯が彫ってありますが、上だけしか彫っていない(下は隠れている)面と上も下も歯が彫ってある面があります。

歯が上だけの面は、もとから神さまを表現していて、上下とも歯があるの面は、はじめ人で齢を重ねて、お爺さんになったこと表しているんだそうです。

本面が日光作の尉面は、面長。弥勒の作は丸顔というのが、特徴だそうです。

これからは、こうした能面を見る楽しみも増えて、ますます能楽が好きになりそうです。

皆さまもよろしければ、日本の伝統文化に触れる機会を持たれると、その奥深さに舌を巻くとおもいます。

日本すばらしい国ですね。

花冷えとも申しますし、今年は花粉もなんかキツいように感じます。

どうぞお気を付け下さい。

ご機嫌よう。

けいくう

☆☆

おもいつかれし 身の上を これ天命と 一刀に

  忍のとびらを 切りひらく 奥にすくいの み手がまつ

一心帰命 うちこみし ナムアミダブの 端的に

  邪気も邪念も はらわれて 獅子奮迅の 勇気わく

                  (田中木叉上人道詠)