2023年2月5日

<第989話 渋柿でも>

こんばんは♪

立春を過ぎて

季節は、春になりました。

日曜日

お念仏会にお越しになる皆さまをお迎えするのに

どんな掛け軸がいいかなぁと考えて

 盧同の茶歌の一句

「先春抽出黄金芽」を床の間に掛けました。

先ず、春は、黄金の芽を抽(ひ)きだす。

単に春には芽吹きがあるというだけでなく

「黄金の芽」を発芽させる。

黄金の芽というのは

その人、一人の芽であり

いのちの花につながっていく。

自分の花を咲かせられますように、と。

昨日のおまいりで

帰りがけに「住職さん、これ食べて!」と

焼きイモをもらいました。

焼きたて、美味しかったです。

焼きイモ

好きなのですが

もう10年ほど前でしょうか?

お昼ごはんを食べる時間がなかったときに

カバンに焼きイモを入れて

移動中に食べようと思っていました。

それをお参り先の奥さまが

ご覧になって

「住職さん、焼きイモがお昼ごはんですか?」

と言われたので

「ハイ!今日のお昼ごはんは、焼きイモです。焼きイモ好きです」

と答えたら

その奥さま

垂水駅に買い物に毎日のように行かれていたのですが

帰りにお寺に寄ってくださり

ずっと焼きイモを届けてくださっていました。

ありがたく頂戴していたことを

思い出しました。

(*^_^*)

焼きイモと並んで好きなのが

完熟した柿です!

美味しいですよね!!

柿は中国が原産らしく、今では1000種類ぐらいあるそうなのですが

大きく分けると

甘柿 と

(*^_^*) 

渋柿 に

(>_<)

分けられます!

今日は、渋柿の話です。

渋柿はなぜ渋いかご存じですか?

それは種子にタンニンという成分が入っていて

それが溶けると渋みを感じるのです。

だから

タンニンを溶けないようにすると

渋みを感じなくなり、甘い柿になります。

どうして

タンニンが種に入っているのでしょうか?

柿の木は、動物や鳥に、果実を食べてもらって

種を他の場所に運んでもらいたいので、

どんどん食べてもらったら良さそうなものですが、、、

時期があるんです。

まだ発芽するには未成熟なうちは

動物に運んでもらって土に着地しても芽が出ませんから

タンニンが食べられるのを保護しているんです。

そうして

もう発芽するのに充分ですよ!という時期がきたら

渋みを消して、青柿から熟れた柿色になって、

「さぁ、食べて!」と

言わんばかりになるんです。

自然の摂理、すばらしいです。

☆☆

タンニンを不溶性(渋く無くす)にするには

1.しばらく放置しておく。すると完熟したら、渋みはなくなります。

ちなみに柿を切ったときに、中に黒い点があるのは、タンニンが酸化したものだから渋くないんです。

他には

2.焼酎に漬ける。

アルコールとタンニンが反応して、アセトアルデヒドになります。

3.お湯に通す

4.リンゴと一緒にしておく。

5.ドライアイスを入れる。

6.干し柿にする。

干し柿にするときには、外の皮を剥ぎます。そのことにより膜が出来て、呼吸ができなくなるのです。それでタンニンがアセトアルデヒドになります。

などなどです。

私たちも、柿にたとえると

ほとんどの方が「渋柿」です。

煩悩というタンニンを中に持っていますから。

(>_<)

タンニンが強すぎれば、人に嫌われることも多いでしょう。

だけど

エゴという皮を剥いで

仏さまの光に当たると、誰にも喜ばれる存在になります!

もとから聖者のような方も、中には居られます。

柿で言うと、完全甘柿です、タンニンがDNAの突然変異で無い柿です。

だけど、ほとんどの柿は、機が熟するまで、煩悩くんが、好き勝手、我がことだけ、ワガママにふるまっているのですが、

何かのきっかけで、機が熟すると

渋柿から甘柿に、変身します。

今の私は、まだまだ渋柿ですが、、、

渋みが無くなれば、甘い柿になれるんです。

放っておいても、甘くなる方もおられますが、、、

せっかくお念仏にご縁があった方は、合掌して、お念仏して、自分の中のタンニン(煩悩)を菩提心(みんなが幸せになる志)に変えてもらって

自分の花を、咲かせましょう!

春には、花々が芽吹くように、私の心の芽も出番を待っているはずですから。

まだまだ風は冷たいです。

体調に気をつけて、健やかにお過ごしください。

ご機嫌よう。

けいくう

☆☆

  み光に 育つ芽が花 花が実に 霊性栄ゆ とわのいのちに

  さらばとて 移し植え得ぬ 秘めし種 苔むす岩も 裂きて咲かせん

                      (田中木叉上人道詠)