2022年12月4日

<第980話 しろ と くろ>

こんにちは♪

師走になりました。

今年も
あと30日を切りましたね。

早いです。

先日、11月23日
京都の金剛能楽堂で
能「竹生島」を舞わせてもらいました。

師匠:今井清隆先生の傘寿のお祝いの会でした。

20年前の還暦の時 「猩々(しょうじょう)」を。

10年前の古希の時 「経正」を。

そして
今回の「竹生島」です。

11月の初めに申し合わせ(リハーサル)が
あったのですが
その日は、朝からすごい腰痛を感じ
さらに
久しぶりに面と装束を着けて舞う感覚に戸惑い

曲が進んでも拍子にも乗れず、謡の台詞も完全ではなく

稽古不足丸出し!
素人丸出し!

で、自分でもあまりに出来ていないので
ショックを受けました。

しかし、気を取り直して
すぐその足で京都から彦根に行き

彦根港から琵琶湖の竹生島に参詣に行きました。

そして
龍神さまと弁財天さまにお詣りして

舞台を務める、ご挨拶をしました。

それから
3週間、毎日、追い込み稽古をして
何とか、本番の朝を迎えました。

当日は、多くの方が応援に来てくださる中

無事に、舞うことができました。

自分では、ここができていないという箇所が
2、3ありましたが、
思い切りよく、できたので
まぁ、良しと思っていました。

昨日
舞台の後、初めての稽古に行きました。

師匠に、

先日は、お世話になりました。
ご指導くださり、ありがとうございました、

と挨拶をして、

ドキドキしながら
返事を待っていると

「満足です。よくできました!」

言っていただけました。

だいぶおまけをしてもらっていますが

師匠に、そう言っていただけて

ホッとして、涙がぽろっと溢れました。
( T_T)\(^-^ )

よかった!
傘寿のお祝いをさせていただけた!

録画した映像を見直していると

やっぱり
プロとは違うなぁと実感しました。

当たり前ですが。
( ̄∇ ̄)

プロとどこが違うのか

一言で言うと

「安定感」です。

それは
地道な努力の結果

身体に染み込んでくるものなので

どれだけ稽古しているか、ですね。

さすがです。

プロのことを
日本語では
玄人(くろうと)と言います。

対して
初心者などを
素人(しろうと)

今は
黒 v.s. 白

みたいに使いますが

昔は

玄(くろ)と素(しろ)

でした。

プロと玄人

似ていますが
少し違います。

素は、しろぎぬ とか 白色、無地、地味、もと、はじめ、性質、誠、正しい、広い、分に従う、虚しいなどなど
たくさんの意味があります。

対して
玄は、くろい色 とありますが、玄米のように茶色も 玄色なんです。黒よりも、範囲が広い。
そして
二つ目の意味が「天。天の色」とあります。
それから、遠い、深く隠れる、静か、通じる、不思議、妙、輝く、眩むと
こちらも多くの意味があります。

玄の二つ目の意味
「天の色」をみた時に、すごいと思いました。

白い色が、天と通じて、天の色に染まる。

これを表現できる方が、玄人だと思います。

私も、能面をつけて、舞台を待っているときは
少しは、その感覚を感じます。ですが、まだそれ自身に完全になりきれていない。

そこが、安定が崩れた時で、甘い箇所です。

今回も秒数にしては、1、2秒だと思いますが、
「次の所作は、なんだったかなぁ?」と瞬時に考えている時がありました。
それが、なりきれていない時です。

なりきれていると
勝手に、身体が動き、声が出ます。

プロは
その方の作品、技術、経験に対して
人々が、対価としてお金を払えると言うことを
言うのだと思います。

プロと玄人
たぶん、同じことを言っているのですが

日本語びいきでしょうか?

玄人の方が、素敵に思ってしまいます。

天につながっているから。

もちろん修練によって
地にも足をしっかりつけている。

そうして
神さまに、舞や謡いを奉納するのが

芸能です。

そこに
限りない魅力を感じます。

もし時間のある方は
最後の10分でも観ていただけると
嬉しいです。

竹生島 前半は、お爺さんの役
    後半は、龍神さまとなって、琵琶湖の上を走り回り
        この国に平和をねがっています。

これからも
天を仰ぎ、神仏に感謝をし
地に足をつけて、皆と手を取り合って
いのちを輝かせて
生きていけるように
精進いたします。

寒くなりますから
体調管理をしっかりと。

今週も
お元気で!

ご機嫌よう!

けいくう

マストいっぱい 帆いっぱい 小さいながら 精いっぱい
  尽くせし上は おまかせの 成るも成らぬも 大御業(おおみわざ)

大慈大悲の みちびきに 声をまかして 称うれば 通う心の 澄み渡り
   ひろびろ晴るる 胸の空
                         (田中木叉上人道詠)