2020年7月12日

<第855話 六波羅蜜と金子みすゞ>

こんばんは♪

九州をはじめ、大雨の被害に遭われておられる方々に、お見舞い申し上げます。

今朝の神戸は、久しぶりに雨があがり、ときおり青空も拝めました。

仏道を修行する上で、有名なのが六波羅蜜(ろっぱらみつ)です。
仏さまのような人になっていくための六つの徳目(修行項目)です。

布施(ふせ):与えること。
持戒(じかい):戒律を守ること。
忍辱(にんにく):堪え忍ぶこと。
精進(しょうじん):努力すること。
禅定(ぜんじょう):心を集中させること。
智慧(ちえ):仏さまの御心。

です。

今日は、その中から布施と精進について。

金子みすゞさんの詩を引用して、考えて見たいとおもいます。

布施とは、与えること。日常で、使われるのは、お坊さんがお参りに来て、お経をあげて説法したことへのお礼として渡す袋に「お布施」と書いていますね。

昔は、布を施して、お袈裟を作って下さいという意味だったとか。

さて、「与えること」とは、何を与えますか?

次の詩をご覧下さい。


<花のたましい>
     金子みすゞ

ちったお花のたましいは
みほとけさまの花ぞのに
ひとつのこらずうまれるの
 
だって お花はやさしくて
おてんとさまがよぶときに
ぱっとひらいて
ほほえんで
ちょうちょにあまいみつをやり
人にゃにおいをみなくれて
 
風がおいでとよぶときに
やはりすなおについてゆき
 
なきがらさえも
ままごとの
ごはんになってくれるから

七五調で書いてあるので
とてもリズムよく読むことができる好きな詩です。
(*^_^*)

お花は、その命が終わった時、残らず仏さまのところにいける。

それは、「与え続けているから」。
どんなお花もキレイに咲いて
蝶々に甘い蜜を与えて
人には、芳しい香りを与えて

摘まれても
子供の相手をしている。

こんなお花のように生きていく生き方が

「布施」です。

人に会えば、笑顔を向けて
明るい言葉を使い
人の役にたつように行動し

共に泣き笑う。

それが、仏道修行の第1の行です。
(*^_^*)

そして第5の修行、「禅定」について。

禅とは、インドのサンスクリット語のディナーヤ(dhyana)のことです。
心が散らないこと。花を見ていれば、花のいのちにこころを通わせ、鳥の鳴き声を聞けば、鳥のいのちの声が聴こえてくる。禅とは、一つになるということです。

<さびしいとき>
     金子みすゞ

わたしがさびしいとき
よその人は知らないの
 
わたしがさびしいとき
お友だちはわらうの
 
わたしがさびしいとき
み母さんはやさしいの
 
わたしがさびしいとき
ほとけさまはさびしいの

私がさびしいとおもっているとき、私のことを知らない人は、私のさびしさなど知るよしもない。

私がさびしいとおもっているとき、お友だちは楽しいコトしようよ!と励ましてくれるかもしれない。

私がさびしいとおもっているとき、おかあさんはそっと温かい飲み物と甘いお菓子などをもってきてくれたりする。

だけど、私がさびしいとおもっているとき、仏さまは私のさびしさをそのまま包み込んで下さって、一緒にさびしがってくださる。

これが、一つになるということです。

私と一つになってくださっている。

慈悲深い人といいますが

慈悲の「慈」は、人のよろこびを自分のよろこびのごとく感じること。
「悲」は、人の苦しみを自分の苦しみのように感じることです。

繋がり合って、一つになって、生きていくと自分の人生、何倍もすばらしくなるとおもうのです。

仏さまの世界への入り口は、大きく開いて私たちを待ってくださっています。

さぁ、手を取り合って進んでいきましょう。

最後に
<お仏壇>
   金子みすゞ

お背戸でもいだ橙(だいだい)も
町のみやげの花菓子も
仏さまのをあげなけりゃ
私たちにはとれないの

だけどやさしい仏さま
じきにみんなに下さるの
だから私はていねいに
両手かさねていただくの

家(うち)にゃお庭はないけれど
お仏壇にはいつだって
きれいな花が咲いてるの
それでうち中あかるいの

そしてやさしい仏さま
それも私にくださるの
だけどこぼれた花びらを
踏んだりしてはいけないの

朝と晩とにおばあさま
いつも灯明(あかり)あげるのよ
なかはすっかり黄金(きん)だから
御殿(ごてん)のようにかがやくの

朝と晩とに忘れずに
私もお礼をあげるのよ
そしてそのとき思うのよ
いちんち忘れていたことを

忘れていても仏さま
いつもみていてくださるの
だから私はそういうの
「ありがとありがと仏さま」

黄金(きん)の御殿のようだけど
これはちいさな御門(ごもん)なの
いつも私がいい子なら
いつか通ってゆけるのよ

☆☆
仏さまと離れない生活が、南無阿弥陀仏と念仏を称える生活です。

六波羅蜜もお念仏の中に、すべておさまっています。

難しく考えないで、お念仏して仏さまとの暮らしを心がけましょう。

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

今週もお元気で!

けいくう

☆☆
光明聖歌

<光の四季>

春 谷のとわたる うぐいすの はつねよ 慈悲の呼び声よ 
         春待つ我に 咲かせかし 心の花も 二三りん

夏 あてにならぬを あてにせし 夢おどろかす いなびかり
         たよるお慈悲の みちびきに うれしホタルの 歓喜光

秋 チロリ チロリン 虫すだく 枯れ野の末も日の照れば
         慈悲の光を なつかしみ 咲けよひな菊 人しれず

冬 みぞれの海に はやて吹く 万里の波濤(はとう) 何のその
         いざ乗りきらん かの岸へ くおんのミオヤ 我を待つ


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☆おまけ☆

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