2024年11月24日

<第1015話 熊坂長範>

こんにちは

昨日

京都・金剛能楽堂にて舞囃子「熊坂」を舞わせていただきました。

熊坂は伝説上の盗賊の統領です。

襲われそうな金持ちが牛若子(義経)を、守護兵士として雇っており

攻め入った熊坂長範の一味は瞬く間に13人が斬り殺されてしまいます。

それを見てこんな化け物がいるならみんな殺されてしまう。盗人も命があってのものだと逃げ出します。

しかし、熊坂には秘術がありそれを使えば義経をやっつけられると考え、殺された仲間の為にもなると引き返して義経と戦うことにします。

義経と熊坂

互いに向き合って戦いますが、義経は熊坂の長刀をサラリサラリと受け流し、ヒラリヒラリとびはねます。

そうしているうちに、熊坂は義経を見失ってしまいます。

すると義経は熊坂の後ろから防具の隙間に剣を突き刺し深傷を負わせます。

痛みを感じつつ、熊坂は長刀を投げ捨て最後の力を振り絞ってなおも義経を捕まえようとしますが

まるで水に映った月を掬いとるみたいなもの。

捕まえられません。

そこで力尽きて、自分の家来や自分たちが殺めた方々をおもって祈ってほしいと手を合わせます。

岐阜県大垣市の赤坂あたりのことですが、松林の夜も明けて熊坂は消え去っていくという

ストーリーです。

☆☆

生きている時は、盗人であっても、悪人であっても、善人であっても、祈りを捧げて、浄化されていく様子は、美しいもの。

祈りって、すばらしいですね。

今週もお元気で。

ご機嫌よう。

昨日の舞の様子は、下記URLからご覧頂けます。

☆☆

すくいの船に 乗りぬれば わが着く岸は 定まれり 憂き世のことは 因縁の 津々浦々の 風まかせ

十方界に 照る月を 枝がさえぎる 松の影 黒きも月の えがく色 たのもしきかな 無量光

                                    (田中木叉上人道詠)

追伸

この舞は、体力がかなりいります。それを指導してくださった師匠に心より感謝申し上げます。

また、こうして能楽を続けさせてもらえるよう支え応援してくださる、お寺のみなさま・家族・友人にも深く感謝いたします。