2023年6月4日

<再配信版 第6話 因縁乞食>

こんばんは♪

6月に入り衣替えをするとすっかり気分は夏ですね。

日も長くなりましたし汗もかくようになりました。

今日は「因縁乞食」という話をします。

昔むかし寛政(1800年)のころ京の町に乞食がいました。

この乞食はどんなにいやな目に遭っても

因縁でござりまする

というのです。

それで世間の人はこの乞食のことを「因縁乞食」と呼んでいました。

この乞食は西本願寺の階段の下へ毎朝暗いうちから起きて行って朝のおつとめの間

じっとそこにいて合掌して念仏を称えている。

そして、朝のおつとめが終わると乞食をしに町中に出かける。

そこでは、石を投げられたり、暴言を吐かれても

「因縁でござりまする」

という。

ある時、西新町六条にある近江屋の主人が酔っぱらって、うちへかえる途中

道を歩いていると小便がしたくなった。

ちょうど大きな石があったのでそれに向かって小便をした

ら、、、。

その石が動いた!!

(*゜∀゜)

よく見ると石ではなくて人でした。

因縁乞食がうずくまって寝ていたのです。

小便で目を覚まして起きたから近江屋さんビックリした。

すると、この乞食

「旦那、因縁でござりまする!」

と言った。

なんともくさい因縁です。

(^^ゞ

しかし近江屋もいくら乞食でも小便をかけたのでは申し訳ないから

「お前はそこにいたのか!」

「石だと思ったから、思わず小便をかけてしまった。申し訳ない!」

と、謝った。

(m_m)

すると乞食は

ただ

「因縁でございまする」

と言った。

それで近江屋は、感心して、何か償いをしようと考えた。お前は、たぶん、身寄りがないだろうから「もしお前が死んだら、わしが、葬式を出してやろう!」と約束した。

☆☆

何年か経って道のほとりで乞食が死んでいると店のものが近江屋の主人に伝えた。

見にいくと 例の「因縁乞食」でした。

安らかな顔をして死んでいた。

そこで約束通り近江屋はその死骸をひきとり葬儀を営んで、火葬場へ送った。

その翌日、火葬場の職人が近江屋にやってきて主人にちょっときてくれと言った。

行ってみると因縁乞食を火葬した灰がすべて紫色になっているではないか!

しかもお骨が全部、透き通ってキラキラ輝いていた!

「旦那、わしゃ、長年ここで火葬をしているがこんなことは初めてじゃ!」

薬の影響で骨が変色したり出血していると骨に色がつくことがありますが私(啓空)も透明なお骨は、見たことがありません。

(?_?)

まぁ、物語の中のお話かも知れませんが

「因縁乞食」の灰は紫でお骨は、透き通っていた。

それを聞いた京都の町中の人はこぞってその灰とお骨を分けてもらって自分のうちの仏壇に祀ったそうな。。。

(おわり)

何をされても

「因縁でござりまする!」と言えるのかと問われると

正直、できないでしょう。

(´。`)

しかし、この乞食は因縁でござりまする!で生涯を貫いた。

すべてを仏さまからのご縁で、起こってきたと受け取っているところがすばらしいです。

まさに佛教の教えの真隨のような生き方です。

その証しとして、火葬場で残った灰が紫色になって、お骨が、透き通ったのでしょう。

何があってもそれは因縁により起こったこと。

ならば仏さまは、いつも応援してくださっている。

どんなことがあっても誰と出会っても

いいましょう!

「因縁でございまする!」

今週もお元氣で!

ご機嫌よう。

台風の大雨で被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

( -人- )

けいくう

☆☆

大悲の護念 わが上に 万難越えて みちびけり ただつらぬかん

このつとめ 苦楽は縁に まかせはて

全分を 尽くしてあとは おまかせの 気も身もかるく あぐる能率

                     (田中木叉上人道詠)

(この文章は2014年6月1日に送った文章に一部編集を加えた再掲載です)