2022年10月9日

<第972話 帰依仏両足尊>

こんばんは♪

今日の写経会の話から。

仏弟子になるときに

三帰三竟を授かります。

その第1が

帰依仏両足尊

です。

これを空外先生は

帰依仏両足尊とは、お釈迦さまの御足ですが、簡単にいうと願と行です。我々は生きていく上において願いがないと生きていけません。

そして

願を持てば、願行具足といって実行しなければいけません。

と、言われました。

☆☆

願い

行い

です。

願いは、例えば、より良く生きていこう。人の役に立つ人になろう。

と持ったとしても、行がなければ、絵に描いた餅で終わるということです。

どうして、行が大切なのでしょうか。

そのことをお釈迦さまのお弟子の一人、周利般特(しゅりはんどく)さんで考えて見ましょう。

この周利般特さんは、もの覚えが悪かった、、、というよりほとんど覚えられなかった。自分の名前さえも。

(-_-;)

だから背中に「周利般特」と書いた札を荷物のように背負っていたそうです。

周利般特さんは、お使いにいっても

「こんにちは!」

言ったあと、何を買うのかわからない。

どこから来たの?

「?」

名前は?

「?」

出直してこい!

振り返ると

「あぁ、周利般特か!」

(+_+)

と、ワカル始末です。

この周利般特さんが、亡くなった時に、お墓から見たことの無い植物が生えてきた。

名前をどうしよう?

周利般特は、名前を荷物のように背負っていたから

「名荷」。

植物だから、名にも草冠を付けて「茗荷(ミョウガ)」としようとなったそうです。

(*^_^*)

だから、茗荷を食べると、もの忘れになる!と言われるようになりました。

(>_<)

落語にも「茗荷宿」という話があります。

ご存じの方もおられるでしょうが、簡単に書きますと

さびれた旅館にお客が来た。

主人と奥さんがチラッとみると、そのお客の懐にお金がつまった財布が見えた。

主人と奥さんは、なんとかその財布を忘れてくれないものかと考えたら、

奥さんが、今日、茗荷を沢山いただいたから、それを料理していっぱい食べてもらいましょう!と、茗荷づくしのご馳走を並べた。

さぁ、翌朝、お客が出立した後、二人は二階の客間に駆け上がり、財布を忘れていないか部屋中を探します。

「おかしいなぁ、あれだけ茗荷を食べたのに、、、忘れていない。。。」

そして

二人で、目を合わせて!

「あっ、あのお客、宿泊代を払うのを忘れていってしもうた!」

というようなお話です。

(*^_^*)

周利般特さん、物覚えが悪いので、他の弟子からも蔑まされ、いじめられて

お釈迦さまの弟子に相応しくない!田舎に帰れ!と言われて

シクシク泣いていました。

そこへお釈迦さまが来られて、「どうして泣いているのだ?」と尋ねられました。

周利般特「私は自分の名前さえも覚えられない愚か者です。とても他の弟子達と同じような修行はできません。かといって送り出してくれた田舎にも帰れず、どうしたものか。自分が情けなくて、泣いています」と。

そこで

お釈迦さまは、「お前にはまだ見どころがある!世の中には、自分は賢いとおもっているものは、山ほどいる。しかし、自分の愚かさに気づいているものは、少ない。お前は自分の愚かさをちゃんとわかっている。ものが覚えられないなら、掃除だけしておきなさい」と箒(ほうき)を渡された。

そして、「塵を払わん、垢を除かん」と言いながら、掃除をしておけ、と。

周利般特は、お釈迦さまに「見どころがある」と言ってもらえたことがうれしくて、それから一生懸命、掃除をしました。

一年、二年、、、、五年、、、十年。

一心に掃除をしました。し続けました。

十二年経ったとき、周利般特自身の心の塵と垢が除かれて、サトリを開いたといわれています。

体得する!

と、言いますが頭でワカルのではなく、身体に染み込んでいくのには、「行」がいるのです。

聞いて「ウンウン」とワカル。

そういう分かり方もありますが、それを行じていく。生活の中で実際に行っていくことで、ワカリが、深まっていくのです。

願いを持つ。それから行じていく。

その二つがないと、物事が進まない。

帰依仏両足尊の両足とは、「願」と「行」です。

その二つが揃って、人間として尊い生き方を歩めていくのです。

宮本武蔵は、「剣は磨けば磨くほど 光を増す」と言いましたが

掃除は、「磨けば、磨くほど、汚さが見えてくる」のです。

人は、きれいな心になりたいとおもっていても、磨けば磨くほど、情けない私、愚かな私に気づいていくのです。

と同時に、おかげを感じる心も育まれていきます。

これも仏さまのおかげ、ここもそう!と

有り難さがどんどん増えてきます。

それが、人間道を歩む

帰依仏両足尊の姿ではないでしょうか!

ソバ屋の窯(湯ばかり→言うばかり)

絵に描いた餅(食べれない)

では、もったいないですね。

今日の話は

自分に、言い聞かせながら、書きました。

(>_<)

読んでくださり、ありがとうございました。

急に、風が冷たくなりました。

お身体、お気を付け下さい。

ご機嫌よう。

けいくう

☆☆

  大みちからを ちからとし いさむ心の 奮い立ち 

    南無阿弥陀仏のかけ声で できないからぞ やってみる

  またとなき日の 今日の日ぞ わが永遠の わかれみち

    歓喜みなぎる 身をささげ いざやつとめん このひと日

                   (田中木叉上人道詠)

追伸

この周利般特さん、ある有名なマンガのモデルになって登場しているんですよ!

ご存じですか?

ヒント:箒を持って、道行く人に「お出かけですか?」としか言わないキャラの人です。