2022年6月26日

<第957話 職人魂>

こんばんは♪

蒸し暑い日になりました。

まさに
夏前の梅雨時ですね。


今日は、Aさんから伺ったステキなお話をもとに、書きたいとおもいます。
読んでいただきやすいように一部、脚色してます。
(^_^)

Aさんは、とても家族を大切にされている方で、奥さまと子どもさまはもちろん、旅立たれたお父さんのこともこの上なく尊敬されていました。
ご先祖さまに対してもそうです。

来月、7月がお父さまのご命日なのですが、毎年その度に、仏具を何か綺麗にされていました。

Aさん「今年は、おりんが黒ずんでいるし、だいぶ年期が経っているので、新調するか仏具屋さんに磨きなおしてもらうかをしたいのですけど、啓空さん、どう思いますか?」と相談されたので、

啓空「まだ、よく響きもあるし、音のきれいだから、このままでもいいですけど。ご主人がおもうようにしてください」と答えていました。

すると

一昨日、Aさんから、電話をいただきました。

ちょうど京都に行く機会があったので
おりんを持って、仏具屋さんを訪ねました。

すると今、京都でも おりん を作っている工房は、2,3軒だそうです。

そして、たぶんN工房だろうと教えてもらったので、
南のU市のN工房まで車を走らせました。

そして、お店の主人に見てもらうと、

主人「確かに、<E>という印が刻んであるけど、うちでは<e>という印なんで、少し違うなぁ」

Aさん「そうですか。ちなみに音を鳴らすとこんな音なんです」

  チィ〜〜〜ン!!

主人「ん?もう1回鳴らしてみてもらえますか?」

  チィ〜〜〜ン!!

主人「それは、うちの工房の作の響きです。その音の澄み具合、響き具合はうちの作品です!ちょっと待っていてください。」

Aさん「この音だけで、わかるんですか!!ビックリ(*゜∀゜)」

主人は、店の奥に入っていき、90歳ぐらいの前店主を呼んでこられました。

そして
主人「Aさん、もう一度鳴らして下さい!」

  チィ〜〜〜ン!!

前主人「おお、これは、うちの工房の音だ!」

Aさん「やっぱり、わかるんだ!! ビックリ(≧◇≦)」

前主人「今の工房は、戦後復興してから、このU市に建てた。戦前は、京都市内にあった。だけど、戦争になって、鋳物(いもの)業は、すべて商売ができなくなりました。砲弾、武器の材料になるからです。そのゴタゴタのころ、私の父が苦心して作っていたおりんには、<E>を使っていたかも。Aさんのお父さんは、私の父が作った おりん を求めて下さったのだろう」

Aさん「私の父は、昔、京都に住んでいたことがありました。前の工房の近くですね。そして、神戸の家が火事で焼けたとき、このおりんは、大丈夫だったのです。それでも経年で黒ずんできたので、どうしたものか、とおもっていました。」

主人「これで、ハッキリしました。このおりんは、うちで磨きなおして、キレイにさせてもらいます。

   お代は、要りません。

   できたあと、送りますからその送料だけご負担ください。」と。

Aさんは、その修理で、次回のお参りに おりんが ないことを私に了承を求める電話をかけてくださったのでした。

☆☆

この おりん工房の お話。

職人さんの魂、誇り、こだわりが伝わる、とても素晴らしいお話だとおもいませんか?

おりんは、銅と錫(すず)をとかして、混ぜ合わせ、工夫を重ねて、その工房独特の音を創り出す。

それは、おりんに限らずどの楽器も同じことが言えますね。一つ一つ違う音色を奏でますから。

その音にかける情熱、心意気が、聴く人の心に染みわたるのでしょうね。

先祖から、受け継いだ、素晴らしい気質。

万歳です!!

私なんかは、どのおりんも同じように思っていたのですが、、、。

職人さんの心意気・職人魂に、脱帽しました。

すばらしいです。職人さんのお仕事!!

☆☆

私の中にもアナタもその中に、ご先祖から受け継いだすばらしいものを
たくさん持っています。

それらを見つけていけばいくほど、こころ豊かな気持ちになりますよね。

そして、ご先祖方に心より感謝して、日々 楽しく、明るく、ありがたく過ごしましょう。

蒸し暑くなって
身体がだるくなってきていませんか?

食べ物がいたむのも早くなっています。

どうぞお身体気をつけて、お過ごし下さい。

ご機嫌よう!

けいくう

☆☆
  木の葉は 千々に わかれても 同じいのちの えだ小枝
    ちるまで元木の 役はたす 青葉わかばに 日の光

  同じミオヤの はらからと ひとつのいのち わけあいて
    とわの旅路に 手をつなぐ きってもきれぬ このえにし
                    (田中木叉上人道詠)