今年の3月26日に北京で「全中国選抜 日本語スピーチコンテスト」が行われました。
中国の272大学から約4万人が参加者があり、予選を勝ち抜いた17人による本戦でした。
そのコンテストで優勝した安徽外国語学院の王子豪さんのスピーチが日本経済新聞に掲載されました。
今回のテーマは、「コロナ禍から学んだこと」か「もしもタイムマシーンがあったなら」です。
もしタイムマシーンがあったら、皆さまは過去に戻りたいですか?
王さんは、タイムマシーンには、絶対乗らないと言っていました。
後悔がないとは言えないけど、人生は後戻りできないから、と。
彼の両親が多忙の為、彼は小学校のころから食事も自分でしていました。ですが、栄養不良になり、入院します。中でも肺を患い死にかけます。呼吸が出来なくなる気胸です。息ができないって、すごく苦しいですよね。
中学生の多感な頃ですから、孤独を感じ、人と比較し、「もうこのまま死んだ方が楽」とさえ、思ったそうです。
そんな時、幼馴染みの友人から電話をもらい「オマエは大丈夫か?オレも入院している。お互い退院したらうまいものを食べに行こう!」と励ましあいました。
ところが、その友人は、白血病で亡くなってしまいます。数ヶ月後、そのことを知った王さんは、言葉もなく泣いていました。友人のお墓にお参りをし、友人の両親から「病気が治ったら、王さんと一緒に遊びに行きたい」というのが、最後の言葉だったとしって、命の重さが宿っている言葉を軽く聞いていたことに、たぶん心を痛められたとおもいます。
「人が一生懸命生きようと頑張っているときに、私は死んだほうがましだと考えていた。自分はいかに愚かだったのかを自覚しました。」と。
そして
「僕は彼の命を託されたんだ。だから彼の分まで、ちゃんと生きるのが僕の使命だ」と、それ以降、病気の回復につとめ、4年後完治にいたります。
王さんが、タイムマシンが実存していても乗らないという理由。
それは、「今まで出会ってきた人たちのオモイを背負ってきたから、私はここで立っていられる。それをなかったことにしてはいけない」と心底おもうから。
☆☆
私たちは、いろいろな人のおもいを背負って今を生きています。
徳川家康が
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」といっているようなものです。
いろいろな人のおかげで、私の今があります。
両親・祖父母・ご先祖方
先生、兄弟姉妹、友人、同僚、先輩、後輩、近所のおじちゃん、おばちゃん、
子どもたち、、、
人だけでなく、食べてきたいのち
それらのおもいを全部背負って生きています。
空外上人は、それを
「阿弥陀さまのおかげで生きている」
だから
ナムアミダブツを喜べないと、人間としてい生きているとは言えない
と
言われました。
人生は、前にしか進めません。
戻ったとしても、違う形でまた学ばないと行けなくなるような気もします。
だから、私はおもいます。
それならば、今、ここに あることを 念仏して、 阿弥陀さまに感謝して
過ごして行こう、と。
多くの方のお世話になって、今の私があるように
もし困っている方が目の前に来たならば、私にできることを喜んでさせてもらい、
弱っている人がいたら、さっと手を差し延べられる人になりたいです。
私が今あるのは、限りないおかげの故、その感謝を表す言葉が
南無阿弥陀仏
毎日、心を込めて、大切にお称えしていきます。
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
「今が幸せ!」とおもえたら、今まで過ごした過去をきちんと認められているということ。
お念仏をして、幸せにいきましょう!
お念仏がなければ、感謝がなければ、私の人生どこに向かうのでしょう?
肩はかえても 荷はひとつ ひとつすんでも またひとつ
胸に気がかり たえまなき 重荷を負うて 何処へゆく
(田中木叉上人道詠)
それでは
今週もお元気で!
ご機嫌よう。
けいくう
☆☆
「過去」の墓 ほりてこぼすな 毒の水 毎日元旦 門出の旭
今日は今日 及ぶ限りのことをして 明日の憂いは 明日ぞ憂えん
光さし 見なおす意味に わく歓喜 打ちかつ不幸ぞ 幸福のもと
(田中木叉上人道詠)
ご参考に。
全中国選抜 日本語スピーチコンテスト
実際のスピーチを以下のURLからお聞き頂けます。
王さんは、一番めの発表者です。53分30秒ぐらいからです。