2022年2月27日

<第940話 諸法実相の世界へ>

こんばんは♪

今日は、諸法実相のお話です。

あるとき師匠の空外上人に、

「今まで揮毫された先生の作品の中で、どれが最高のものですか?」

とお聞きしたとき、

メガネをずらして、すごい目で睨まれました。

いや~、こわかったです。

(>_<。)

先生は、常日頃から、

「南無阿弥陀仏と称えながら、揮毫しているので、わしの右手が阿弥陀さまとなって、阿弥陀さまが字を書いて居られるのだ」とおっしゃっていました。

だから、すべての作品が、阿弥陀さま、そのもので、最高!ということです。

この森羅万象、すべてのものに、最高の価値がある。

このことを「諸法実相」といいます。

ちなみに、『日本大百科全書』には、

「諸法実相」とは

『般若経』『法華経』などに現れる思想の一つ。サンスクリット語のダルマターdharmatāなどの漢訳語。現象としてのあらゆる存在の背後にある、ありのままの真実のすがた。またすべての存在の真実究極のすがた。

この思想は大乗仏教思想に一貫して流れ、現象の背後にある真実の相を把握しなければ、人間としての真の生きがいを体得することはできないという。また、現象としての存在、および心作用に執着することなく、実体として見ないという立場(空観)によって、諸法実相が顕現するとされる。

中国天台宗以後、この訳語をもとに、「諸法は実相なり」と読解されることがしばしば行われた。この意味は、「現象としての存在は、そのまま真実在の現れであり、真実の相である」ということである。

その後、この「諸法実相」の語は、中国・日本仏教の各宗において、種々の意義をもつものとして解され、その意義はかならずしも一定していない。

と、難しく書いてありますが

さっき書きましたように

森羅万象、すべてのものに、最高の価値がある。

で、良いと思います。

(*^_^*)

ところが、

空外先生は、自分の作品は、すべて最高!(偉そうな意味では決してありません)

おっしゃいますが、、、

美術商が、空外先生の作品を、ABCの3つほど、手に入れたとすると

その大きさ、筆勢、書かれた年代、文句、紙の保存状態などなどにより

A50万円、B35万円、C10万円とかと

値段が付くのです。

それを一般の方がご覧になると、、、

値段が高いAが、一番価値がある!と、比べてみてしまうとおもうのです。

僕は、その世間の価値観(ものさし)で、空外先生に

先生の作品の中で、最高のものは、どれですか?

聞いてしまったのです。

だから睨まれてしまった。

(>_<。)

しかし、空外先生は、阿弥陀さまの価値観で、生きておられるので

どれも最高だとおっしゃいました。

実際、自分がお書きになった書の前で、これはいい!と感心されていたのです。

そこでは、阿弥陀さまとお話されていたのでしょうね。

※これを「空即是色」といいます。

また、別の機会に書きます。

☆☆

私たちには、エゴがあり、ついつい

これが「良い」「悪い」と判断して暮らしています。

どの子も、仏の子であるはずなのに、

「良い子」「悪い子」「普通の子」と言って見てしまう。

この損得計算をする世間の価値観から、離れることが仏教を学んでいくことにもなります。

先週の親が子どもにどう言えばいいのか?

「おまえは、お前のままで、そのままで好きだよ!」と

言っても、

世間の価値観を持ったまま言っていると

「僕が良い子だから、好きだと言ってくれている」

良い子でなければ、ならないというプレッシャーを子どもが感じることがあるかもしれません。

ここが、難しいところです。

キュブラー・ロス博士も

親が条件付きの愛で子どもに接していると

「子どもは、親に心の売春をするようになる」という言い方をされていました。

世間の価値観(条件付きの愛)を一旦、横において、

諸法実相という価値観(無条件の愛)で、子どもに対していく。

「子どもが学校に行かない!」となったときに。

親が、どうすれば、我が子が学校に行ってくれるだろうか?と考えてものを言っている間は、世間の価値観です。

親がその価値観を持っている以上、子どももその世間の価値にしばられ、苦しんでしまいます。

問題解決をされた親御さんの言うことを聞いていると

「もう、どうでもいいわ。。。学校に行っても、行かなくても」となった時に

親子での会話が出来るようになってきたという話が多いです。

親が世間の価値観や自分のエゴといった条件付きの愛を捨てると

親も子どもも、諸法実相の世界へ入っていけます。

親は、子どもに「世間の価値観を捨てたよ。その上で、お前のことをそのまま好きだよ」と伝えることが大切なのです。

世間の価値観・親のエゴを持ったまま

「お前のことを好きだよ!」というとは違いますよ!と

書きたいのですが、書けているでしょうか?

我が子が

大学に入ろうが、就職しようが、部屋に居ようが、元気だろうが、病気だろうが、

「そのまま無条件で愛せる」かどうかです。

森羅万象、すべてのものが、最高の価値がある。

仏教の言う「諸法実相」の実践です。

それは、とりもなおさず

自分自身についても言えそうですが。。。

諸法実相の世界

その世界がお念仏で、開かれていきます!

私はまだまだその入り口にも立てていませんが、

諸法実相の世界へお念仏して、歩んで行きたいです。

もしよろしければ、ご一緒にいかがですか?

梅の花が咲き、春の声が、あちこちから

聞こえ出しました。

今週もご機嫌よう。

けいくう

☆☆

  小さくとも とわの命のみのる華 光にそだて 三昧の庭

  かぎりなき いのちにからだ ただ着物 脱ぎしはだかぞ とわの輝き

                       (田中木叉上人道詠)