2021年7月11日

<第907話 感想戦>

こんばんは♪

今日は、暑い一日でした。
いよいよ夏ですね。

今日の写経会でのお話から。

法然上人は、今までの仏教が目指していた三学(戒・定・慧)の教えを修めつつも、それではすべての人が救われないので、すべての人が救われる道はないのかと
人に尋ねて歩いたけど、答えを得られなかったので、一人山に籠もり、経典を繰り返し繰り返し読誦して、ついに念仏の教えに辿り着かれました。

それは、いわば改革のようなものです。

言葉を変えると

三学を修めて、おりこうさんになりましょう!と
言っていたところを

三学のどれ一つも修められないおばかさんだと自分を認めましょう!
に変えたのです。

私も、しっかり修行をしておりこうさんになりたかったです。

親から、おりこうさんにしておくのですよ!と言われて育ちましたから。

だけど、

すぐに
人の事を羨んだり、怒ったり、愚痴を言ったり、落ち込んだり、、、

するそんな私です。
(+_+)

だから、おりこうさんへの道は、ちょっと諦めて

おばかさんへの道を行こうと思います。

ところが
このおばかさんへの道も決して、簡単ではないんです。

どこかで、そこまでバカではな!いとか
おりこうさんで居たい!と思ってしまっていますから。。。
(>_<)

おりこうさん(理想の自分)になるために、努力・精進することも大切ですが、

おばかさん(今の自分・ありのままの自分)を認めて行くということも大切です。

☆☆
昨日も剣道の稽古をしましたが、稽古をしたあと、先生に挨拶に行きます。もしくは挨拶に来てくれます。

そして、今日の稽古は、気合いが乗っていてよかったとか、もっと太刀筋をまっすぐとか、相手の目をしっかり見た方がいいとか、右手で打ってるね、とか
感想を伝えます。

同じように、将棋や囲碁の世界でも、感想戦というのがあります。

将棋と言えば
藤井聡太氏、先週最年少で九段に昇段し、今日も竜王戦の挑戦権獲得の対局にも勝利していました。今後も楽しみです。すごい活躍ですね。
(^_^)

将棋では、投了をもって、対局が終わります。

投了とは、負けをサトッタ方が、
「参りました!負けました!」と相手に頭を下げるのです。

これが、なかなかできないですよ。

特に普段の生活では。

さっきの法然上人のお話でいう「私は、こういうおばかさんだと認めます」ということ。
自分のイヤなところ、欠点・短所をきちんと認めるということです。

そして、投了したあと、その対局を初手から振り返っていくのが、感想戦です。

その感想戦は、対局の直後、まだ余韻が残っている中で始められます。負けた方は悔しさに打ち克って、勝った方は嬉しい気持ちを折りたたんで相手の気持ちを察しながら、実戦では現れなかった指し手や敗因となった悪手、そこでの好手など探っていきます。勝者と敗者が一緒に行う共同の作業です。

将棋の対局は、「勝ち」という目標に向かって対局者は一心に盤面に向かいますが、その最中にも相手との駆け引きが無数に行われます。

だけど、そこで行われているのは、自分との対話かもしれません。

将棋に限らず、武道もそうですが、本当の目的は相手に勝つことではなく、「自分の心に克つ」ことです。

対戦者の二人が、全力を出し切って相手と時を過ごす。その中で自分を見つめる。これは、何もプロの世界だけの事ではなく、子どもの対局でも見られます。

大切なのは、相手の力をかりて、自分の心に克つことです。

こわがる、おどろく、まよう、そして失敗して悪い手を打つ。それで負けることもある。だけど、試合が終わったあと、感想戦をして、失敗した原因や負けたことの意味を相手と二人で協力しその対応をどうするか、こういう手を打っていたらどうなるかなど、考えて納得し、さっきの試合での自分の心を振り返り、次の糧へつなげていけばいいだけなんです。

負けてもいいんです。
むしろ
負けて学ぶんです。

☆☆
おりこうさんになるのは、今の自分を成長させていって、すばらしい人になるイメージです。

しかし、おばかさんになるのは、自分のダメなところをしっかり見て、そこに意味を見いだしていくことです。こんな自分もあるよね、と自分に認められたら、ありのままの自分が見えてきて、そんな自分でもいい。そんな自分だからいい。そんな自分がいい。こんな自分に生まれてきてよかった。となっていきます。

おばかさんを極めた上で

「こんな自分に生まれてきてよかった」と言えた人は

すべてに感謝できる人になっています。

自分のダメなところを、カバーしてくださる人がいてくださるから

今の自分があるのですから

これなら、すべての人が自分に取り組めますよね。
(^_^)

その方法を法然上人は、南無阿弥陀仏のお念仏を称えることで
仏さまが、お育て下さる、お守りくださると教えてくれています。

さぁ、あなたは

おりこうさんへの道

おばかさんへの道

どちらを選んで、歩まれますか?

どちらも尊い道です。

負けてもいいんですよ。
だめでもいいんですよ。
しんどくてもいいんですよ。

調子が良くても悪くてもいいんですよ。

起こってきたこと
その意味をしっかり考えて
今週も一歩だけでもすすみましょう!

時には、手を取り合って。

暑いです。
どうぞお身体に気をつけて。

ご機嫌よう!

けいくう
☆☆
  力なき身を 投げ出して まもるミオヤを 念ずれば 久遠大悲の みちからが わが身 心に みちわたる

  大みちからを ちからとし いさむ心の 奮い立ち ナムアミダブのかけ声で できないからぞ やってみる

                                             (田中木叉上人道詠)