2021年6月6日

<第902話 共感・共有の言葉>

おはようございます!

6月になりました。

ん?

おはようございます?

なんか、時間がおかしくない?

と、思われた方、、、

(特に今日は、配信の時間遅くなっていますし、、、すいません)

だけど

芸能界は

いつでも、会ったときに

「おはようございます」らしいですよ。

それ、どうしてでしょうか?

☆☆

『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』

(金谷武洋著 飛鳥新社)

という本を読みました。

とても面白かったです。

日本語教師を目指す人だけで無く

日本語を話す人は是非、読んで頂きたい本です。

☆☆

日本語には、主語がありません。(私とかアナタが、出てきません)

なぜなら

動詞が変化しないから。

比較言語として

英語には

必ず主語(I, You, It など)が入ります。

それは、

動詞が変化するから。

僕が、大学院の時、サンスクリット語を習いはじめの最初に

動詞がキーポイントだから、そこをしっかりと押さえるように、と教授に言われたのを思いだしました。

動詞が文章の中心で、「行為」を表す

だから、誰が誰に、何をする。

という形になるんです。

例えば、I thank you.

私が、あなたに 感謝する。

それに対して

日本語の「ありがとう」は

ありがたくという副詞からきた

ありがたい という形容詞の変化で、

有ることが難しい状態。

奇跡のようなこと。

似たような言葉に

忘れがたい もあります。

忘れることが難しい故郷。

など。

このように形容詞とは、「まるい」、「大きい」、「白い」、「やわらかい」

など

状態や様子を表すもの。

日本語は、在り方をしめし

~である言葉。

英語は、やり方をしめすとも言えそうです。

~をする言葉。

次に、おはよう。

英語だと、Good morning!

詳しくは、I wish you a good morning.

英語には、人が出てきます。その二人は、互いに向い合っていて

私は、アタナが、よい朝をすごされることを望んでいる。

みたいな感じです。

日本語の

おはようは、日の出を並んで見ていて、この時間にここに居るのは

早起きですね! お早いですね。

と、お互いに朝の時間を心を合わせて、共感するイメージです。

英語は、私視点が入って、私からアナタへの矢印が、あります。

日本語は、話し手と聞き手が同じ方向を向いていて、一緒に感動と共感をしているだけです。

冒頭に書きました芸能人が、夜に会っても

「おはようございます!」というのは

これを考えると納得できますね。

一日の仕事をはじめる時間を共有して

さぁ、今から いい仕事をしましょう!

という共感の挨拶ですから。

☆☆

共感・共有について。

俵 万智さんの短歌

「寒いね」と話しかければ 「寒いね」と答える人の いる暖かさ

(『サラダ記念日』河出書房)

日本語が理解できる人なら、じーんと心に響きあったかくなる歌ですね。

一緒に寒さを共有して、心を通わせる風景が浮かんできます。

相手と並ぶことで、相手が視界から消えてしまい、見えなくなる。

そこに、自分と相手とを越えた平和な世界を過ごせることになるというのです。

愛している。

I love you!

I love you は、向い合って、私の愛をアナタに伝える感じですが、

日本語の愛してるを敢えて英語に訳すと

You and I are in Love.

に、近いと書いてあります。

日本語を使うことによって

自然に相手を思い遣り、いろいろなことを共有する。

だから、日本人は、やさしくて、親切な人が多い。

すばらしいことです。

最後に、長くなりますが

あと、ジョン・レノンがオノ・ヨーコと出逢って、つまり日本語と出合って

生き方が変わり、あの名曲「イマジン」も出来たと書いてあるんです。

ジョンが銃弾に倒れる2日前に書いたインタビューの文章を紹介して終わります。

「イマジンは、実際にはレノン・オノの作とすべきでさ。多くの部分が、歌詞もコンセプトも、ヨーコの方から出ているんだけど、あの頃のぼくはまだちょっと身勝手で、男性上位で、彼女に負っているという点をオミットしてしまったんだな。でも本当にあれは彼女の『グレープ・フルーツ』という本から出てるんで、あれを想像せよ、これを想像せよというのは、全部彼女の作であることをここにまことに遅ればせながら公表します」(『ジョン・レノン ラストインタビュー』中公文庫 池澤夏樹訳)

あのジョン・レノンでさえ、日本語に出合って、生き方がおだやかに・平和になっているんです。

日本語、すごいですね!!

日本語ほど、話者と聞き手を分離せず、進んで同じ地平に立って、感じたことを共有できる素晴らしい言葉は、ないとおもいます。

自分と他人を対立するのではなく、共有・共生する。

日本語を使用して、生活していることに誇りがもてるすばらしい本でした。

ざっと、書いてこの本の魅力の半分も表現できていませんので、

よろしければ、ご覧になってみてください。

相手と同じ方向を向いて、共有していく。

そこから、平和な世界が広がって行きますね。

今週も、みんなと仲良く過ごしましょう!

ご機嫌よう!

けいくう

☆☆

  察し合い 悦ばせ合い 折れあいて 合わぬ性分 合わす合掌

  念(おも)われて 念うゆかしき 法悦に 悪もにくめぬ 和やかさかな

                         (田中木叉上人道詠)