2021年5月2日

<第897話 Kさんの旅立ち>

こんばんは♪

大阪、兵庫で

コロナウイルス感染が拡大していますね。

気をつけましょう。

通照院でも

コロナが原因で亡くなられた方が5名になりました。

エッ、コロナってたいしたことないのでは?

風邪ぐらいに、、、と思っていても

実際に、ご家族と対面してお別れすることなしに、見送ることになると想像以上に辛いです。

今日も葬儀をつとめました。

とても頼りにしていたKさん。

3月31日に、「住職、コロナの検査、陽性が出てしまったわ。しばらくお寺に行かれへんわ」

と、連絡がありました。

体格もいいし、まだお若いので、気をつけて

早く治して、お寺に来て下さい!と返事をしましたが、、、

病状が一気に進み、肺が真っ白に。

重篤! 信じたくはない現実ですが、、、

最初の病院では手に負えず、神戸中央市民病院にお世話になりました。

器官切開もし、出来ることの治療はしていただいたのですが、、、

残念ながら、旅立たれてしまいました。

きっと

本人も驚いておられるとおもいます。

周りの誰もが、絶句し、悲報に涙しました。

しかし、奇跡がありました。

入院されている間に、コロナウイスルは、Kさんの身体からは出て行き、検査が陰性になりました。そして、2回目の検査も陰性!

隔離病棟から一般病棟へ変わることができました。容体は安定していたのにもかかわらず、その翌日の他界でした。

もしコロナ病棟での旅立ちとなると、保健所の職員立ち会いのもと、密封していただきお棺へ。あとは、あけることができません。最近では、お顔だけは見ることも

して下さる場合がありますが、棺は業者が管理で、絶対あけられないように、なっています。

4月30日の20時頃、病院から近くの家族は、集まるように連絡がありました。

22時半ごろ、ご家族から、訃報がお寺に入りました。そこで、葬儀屋さんを手配し、お迎えに行ってもらいました。

お寺にお越しになったのが、25時すぎ。

お寺に帰ってきた下さったことに、心より感謝しました。

そして、土曜日通夜、本日葬儀でした。

通常であれば、神戸市の場合毎月第一日曜日は、斎場が公休日となっており、葬儀はできません。しかし、伝染病でお亡くなりになった方の場合のみ、受け付けて下さいます。

Kさんは、最後PCR検査は、陰性ですが、死因は、コロナです。

だから、今日、葬儀をすることができました。

それは、日曜日です。朝、念仏会に参集の皆さまとも、自然な形で、お別れしていただけるのです。実際、皆さまも涙を流しながら、Kさんに「ありがとう!」と感謝を捧げて、献香されていました。

Kさんも毎週日曜日の念仏会にきてくださっていたので

今朝、念仏会に集まった方々にKさんとの想い出を話してもらい、それをKさんご家族に聞いてもらいました。

それにより、自分の父であるKさんのことを知った娘さんたちは、新たな父の一面を知ることができ、うれしかったとおもいます。

ほんと、何より、Kさん、よく頑張って、お寺まで帰ってこられたことに感謝でした。

しかも、きれいな安らかなお顔をして、口元には笑みさえ、うっすらと浮かべておられました。

このことに、救われました。私もですが、ご家族もそうだとおもいます。

まさに、最高の旅立ちだと誰しも納得する素晴らしい最期でした。

人生で、あんなに緊張したことはなかったと言われていましたが、

奥さまと結婚するときに、お寺に挨拶に来られたKさん。

子どもも孫もみんなが大好きだったKさん。

通夜の後、娘さんは、「デブ・ハゲ・入れ歯」な父だったけど、

とにかく「やさしい父でした!」「みんなをこよなく愛してくれました!」と

そして「みんなから愛されていた父でした」と涙ながらに話してくれました。

その言葉のとおりKさんは、みんなに愛されていました。

奥さまがお元気な間は、運転手で門のところから中には入られなかったのですが

奥さまがガンで健康状態をくずし、その介助をしながら、お寺の行事に来て下さるようになり、平成22年に奥さまが旅立たれてからは、奥さまの意志を引き継ぐように、毎週日曜日にはお寺に来て下さるようになりました。

いつもニコニコと笑みを絶やさず、誰にも親切だったKさん。

そのすばらしい人柄から、護持会の役員も引き受けてくださり、ますますお寺のことを一生懸命してくださっていました。

工務店におつとめでしたから、お寺の修繕工事などをたくさんしていただきました。

何かあれば、Kさん、Kさんと頼っていました。

お盆やお彼岸の法要には、お孫さんの手を引いて、お寺に来られ

小さい内からお寺とご縁を結んでいたら、宝物になるから、若い人をもっとお寺に来てもらうようにしよう!といつも仰って下さっていました。

そんなKさんに、もう会えないのは辛いです。

Kさんの声が聞けないのは、悲しいです。

Kさんの顔が見れないのは、さびしいです。

人とお別れするのは、やはり寂しいです。

ですが、いただいた恩を少しでも、いろいろな形で、続く方々につなげるように

これからも生きていきます、とKさんに誓いました。

Kさん、本当に、ありがとうございました。

Kさんから頂いた愛情は、決して忘れません。

これからは、仏さまのところから奥さまと一緒に応援してください。

旅立たれた方々の応援を背に、がんばっていきます。

Kさん、最高の旅立ちでしたよ!

  信誉徳雲盛隆禅定門、追福増進菩提

( -人- )

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

今は、葬儀も終わり、やりきった感で、ぼーっとしています。

まとまっていないかもしれませんが、

今日はこの辺で筆を置きたいと思います。

皆さま、非常事態宣言が発令されていますが、

引き続き素敵なゴールデンウィークをお過ごし下さい。

お元気で、ご機嫌よう!

けいくう

☆☆

  無量寿を 含む一日 またとなき 今日のいのちを 尊くいきん

  須磨の浦 帆に夕映えの 汽車のまど 涙も笑みも 運ぶ都路

                        (田中木叉上人道詠)

神戸市のホームページより