2020年11月30日

<第875話 舞囃子「安宅」>

こんばんは♪

風が冷たくなりましたね。

紅葉も、見頃がすぎてきました。

日が暮れるのが早くなり11月も、もう明日で終わり。

早いですね。

今日は、先週書きましたように、京都・金剛能楽堂で、舞囃子「安宅」を舞いました。

朝から、レンタカー屋さんに行き、29人乗りの小型バスを借りて

応援に来て下さる方を垂水駅でお乗せしまして、京都に向かいました。

大徳寺の中にある泉仙さんで、鉄鉢料理という精進料理を頂き、特別拝観の瑞峯院さんを参詣し、御所の駐車場にバスを駐めて金剛能楽堂に着きました。

応援してくださる方が居てくださるのは、本当にありがたいです。このメルマガを通しても、多くの方が応援してくださり、感謝・感謝です。

舞を舞う時に、節目節目で、きちっと止まっているかどうかで、全体のキレが違うのです。どんなに早い動作でも、決めるところで止まらないときまりません。ゆっくりの曲だとなおさらです。

止まって、待つ時間、そこにおもいがこもるのです。

音楽で言う、休止符のもつ意味です。

初心者に近いほど、早く舞ってしまう傾向があります。

ちゃんと曲がわかっていないと、止まれない。。。

今回は、そこをすごく稽古しました。

☆☆

人生において、大変な時期を何回か経験されたとおもいます。

愛する人が旅立って往かれたあとに、残された方に、よく言います。

「時間」が必要です、と。

何かをしていると紛れるかもしれませんが、「何もせずに、ただ時間が過ぎ去るのを耐える時間」それは、苦しい・悲しい時間ですが、、、

人生には、必要だとおもうのです。

そこで、生き方が深まる。

時には、止まることも必要だとおもいます。

☆☆

今日の舞囃子「安宅」は、全体でも12分ぐらいの曲です。

だけど、その12分に、僕の今まで経験したこと、稽古したこと、すべて入っていたとおもいます。

赤ん坊の時、おばあちゃんにおんぶしてもらって聞いていた謡い、囃子、、、

本格的に稽古をはじめてすごした30年ほどの年月、、、

54年の人生で経験したこと、、、

そのすべてで、舞いましたから。

☆☆

もしかしたら

旅立って往くときって、こういうことをかなぁともおもいます。

旅立ちの時に、すべてが入っている。

そうか!

別に、今日の私のように特別の日でなくても、

私が旅立つ日でなくても

今日の一日をすごしている私には、今までの私が経験したことがすべて入っている。

時には、何もできなくて、すごした日々も

忙しく動き回った日々も

病気をしていた日々も

楽しく遊んでいた日々も

ケンカして泣いた日々も

そのすべてが今日に入っている。

そのすべてが自分に必要なことで

今の自分を作っている。

後悔するのをやめましょう!

後ろを振り返ったら

私なんて、穴を何個ほったって足りません。

「今、幸せっ」ていうだけで、過去のことをすべて認めることになりますでしょ!

今、幸せになることを考えましょう!

バタバタと動き回るのもいいけど

コロナの今年

何もせず、じっくりと自分を見つめるのも、私には必要なことでした。

止まれる人の人生は、味わいが深いようにもおもいます。

動いてもよし、止まってもよし!

そのすべてが私の人生、そして一番は「楽しむこと」でしょうかね。

(*^_^*)

おかげさまで、舞囃子の舞台を終え、自分の中で一つ、成長できたようにおもいます。まだまだ皆さまにはご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。

今週も配信が遅くなってすいません。

舞台が終わったあと、本山・知恩院にお参りしてから、神戸に帰りましたので。

どうぞお身体お気を付けて、元気に師走をお迎え下さい。

ご機嫌よう!!

けいくう

☆☆

つらくもつらい 時ほどが のぞみをとぐる 満足で 求めてやまぬ 彼の岸へ 一と日近づく この一と日

散りし花びら 追わんより 出る月またん むきかえて 今の苦楽は はしご段 はしごのぼれば 月見宴

                           (田中木叉上人道詠)