2020年9月28日

<第866話 お葬式のこと>

こんばんは♪

秋になりました。お寺の彼岸花(曼珠沙華)もきれいに咲いて、風がとても気持ちいいです。

季節の変わり目か、今月は毎週お葬儀があって、今日もでした。。。( -人- )

お彼岸法要があって、と少々バテ気味ですが、今日も一日、がんばってつとめました。

先日おつとめした91才のMさんの葬儀での話。

もう10年以上前になるとおもうのですが、Mさんがあるお葬式に参列して「あのお葬式は、なんかさびしかった」と言われたのです。若い人が使う言葉でいうと「ショボかった」です(>_<。)

Mさん「だから、私の時は、賑やかにしてください。お願いしますよ、啓空さん」と言われたので、「はい!わかりました!」とお約束していました。

そのMさん、葬儀の日がちょうどお彼岸の中日に当たったので、最近は弟子と二人でおつとめすることが多いのですが、お彼岸のお参りもたくさんあったのでお弟子さんにそちらをお願いし、私一人で葬儀を行うことになりました。

「う~ん、賑やかにか~?」とおもいつつ、お葬儀に臨みました。

するといつもと同じようなことをお話ししているのに、すごく乗ってしゃべれているのです。

(葬儀屋さんの司会の男性が、とても感動しました!と言っていました。)

そして、葬儀式の時も、普通は複数の僧侶でするときにしか鳴り物(銅鑼や鉢)は使わないのですが、一人で何役もして、ジャランジャラ~ンと鳴らして賑やかに賑やかに、と。

お経の声も、いつもよりボリュームをあげて、つとめました。

すると引導作法が終わる頃、旅立つ人は天に昇っていくように感じるのですが、その上がり方がいつも以上に早く、高く昇っていく感じでした。

そして、Mさんが、とてもニッコリと「啓空さん、ありがとう!」と言ってくれたような気がしました。

今まで、数え切れないくらい葬儀をつとめていますが、自分としては最高の葬儀ができたとおもっています。毎回、最高の葬儀だと自画自賛していますが、、、。今回は特に、です。

( -人- )

参列された方のお気持ちは、お聞きしていませんが、たぶん同じようにおもって頂いているとおもいます。

☆☆☆

心を込めたお葬儀を!と家族の方は願います。

何が心を込めたお葬儀なのか?時間があると葬儀屋さんによく尋ねるのですが、、、

今回のMさんの件でも、よくわかりました。

旅立つ人も、一緒に祈ってくれているということ。

家族・親族一人一人が、心を込めて参列してくれているということ。

そこに、僧侶や葬儀屋さん等、関係する方皆さまが協力して心がこもった葬儀になること。

そのために、僧侶である私の役目は、全体を指示し、家族に儀式の意味・やり方を説明し、きちんと焼香・読経をしていただいています。

☆☆

ところで葬儀並びに告別式といいますが

葬儀式と告別式は、違います。

葬儀式は、旅立つ方に、「あなたは、もうお亡くなりになりました。阿弥陀さま・二十五菩薩さまがお迎えに来て下さっているから、どうぞ極楽浄土へ往生してください」とお伝えする伝統にのっとった儀式。

告別式は、お見送りする親族が旅立つ方にお別れを告げる式。お棺にお花を入れたり、お手紙を書いたりしていますよね。

最近は、直送と言って葬儀式をせずに、告別式だけをそれも簡単な形で、すませる方法も増えてきていますが、時代の流れとは言え、大切な方の最期を飾る儀式ですから、それで家族・親族の方々の心の整理がつけられるのならいいですが、どうかとはおもってしまいます。

そして葬儀式は、人生の卒業式とも言えます。

旅立つ方が卒業生、親族が在校生。私は、卒業証書を渡す校長先生の役です。卒業証書といっしょに(人生の)成績表も渡します。

人生の成績表、何で評価するとおもいますか?

ポイントは、三つあります。

学校の成績表と一緒です。

(*^_^*)

普段の授業態度やテストの点、宿題をちゃんとしているかなどです。

一番重要なのが、平常点。どんな生き方をしてきたか、です。

二つ目が、お亡くなりになったときの顔、枕経のときに感じること。

三つ目、、、何だとおもわれますか?

それは、通夜の時、参列されている方々の顔とオモイです。

だから、私は通夜の時、かならず参列者の顔を見ながらお話します。どれだけ人数が多くても、お一人お一人のお顔を見ています。そこに、旅立って往かれる方の人生が描かれていますから。

それを踏まえて、葬儀式で、引導を呈上します。

さぁ、校長先生から満足のいく卒業証書をもらえるように、何よりも自分自身がこの人生生まれてきてよかった!精一杯生ききったとおもえるように、一日一日、大切に過ごしましょう。

( -人- )

誰しも、この人生を卒業する日が来るのですから。

けいくう

☆☆

青い稲葉は その中に 白いお米の みのるため 死ぬるからだは その中に 死なぬいのちの そだつため

泥にこそ咲け 蓮の花 散るもまたよし 咲くもよし 色香はやがて 無量寿に みのる実となる 散る蓮華

                                        (田中木叉上人道詠)

ご意見やブログへのご意見・ご感想お待ちしております。

☆今日の法話は、下記アドレスよりご覧頂けます。