2020年5月17日

<第847話 剣は心なり>

こんばんは♪

コロナの影響もだいぶ落ち着いてまいりました。

明日からは、自粛もとかれて、ステイホームから仕事場に向かわれる方も多いのではないでしょうか?

先日、ご縁のあるP会社から新入社員研修の一環として、剣道を教えてくれませんか?という依頼を受けました。

剣道を本格的に稽古するというのではなく、武士道の精神などの講義と簡単な基本動作を教えてほしいということでした。

今月末は、オランダに行く予定にしていたのが、コロナでキャンセルになり、時間がありましたので、引き受けました。

いい機会をいただいたので、ここでも少し紹介させていただきます。

昭和50年3月に全日本剣道連盟が制定した「剣道の理念」というのがあります。

剣道は剣の理法の修錬による 人間形成の道である

剣道は、剣(現在は竹刀)でもって相手に打ち込むみます。昔ならいのちをかけて斬り合うのに、それがどうして人間形成の道となるのか。

確かに昔は、相手を殺すことを目的に、鍛錬を重ねたのですが、戦後になって「剣道」は、殺人刀を自分を鍛え、他人を生かす「活人剣(かつじんけん)」として新たな歩みをはじめたのです。

竹の刀を持ち、氣を練り、剣のワザ、身体の使い方を修練し、美しい一本を打ち込む。打たれると我が未熟さを知り、更に修行に励むのです。

打って感謝、打たれて感謝です。

竹刀とはいえ、お互いに刀をもって、向き合うのですから、恐怖もあります。勝ちたい、打ち込みたいという欲もあります。

そういった自己を見つめて、謙虚になり、人間が形成されていくのです。

剣道でなくても、人間形成はできますが、「剣道」は、何が違うのか。

稽古をしていると相手を打つ、突く、体当たりする、突き飛ばす、道場を転がされる。

ただ乱暴な行動をするのではなく、そこに知性・教養・徳性・礼節をもって稽古をするということが武士道の精神なのです。

辛くても、痛くても、逃げない!

卑怯な勝ちをよしとしない!

逃げるのは「恥」として修行に取り組むのです。

暑い夏の稽古、寒い冬の稽古、打たれたら痛いし、手や足の裏にはマメができますし、防具は匂いがキツイし、ハッキリいってツライことばかりです。

しかし、稽古を経て、人の辛さ・苦しさがわかる人間になれるのです。

稽古に終わりはありません。

美しい一本を打ち込むために。

昭和の剣豪 持田盛二先生が仰っていたのですが、簡単に書きますと

剣道に「氣品」があるとか無いとかは誰にでも自然に感じられるもの。

だけど、その氣品とは何かというと、簡単には言えない。

「氣」を花にたとえると、氣品とは薫りのようなものではないか。

または

「心」を光になぞらえると、氣品は、その輝きのようなものではないか。

花が鮮やかに咲いていなければ、薫りを放つことはなく、光が曇って入れば、輝きは広がらないのと同様に

氣品は正しい心、澄んだ氣から、自然に発する得も言われない氣高さである。

奥ゆかしい氣品をまとっている人は、人格そのものに高き香りがあり、明るく光っていて、会う人が自然に尊敬の念をいだくようになる。

                           (『武道宝鑑』講談社)

幕末の剣豪、島田虎之助は

其れ剣は心なり 心正しからざれば 剣又正しからず

すべからく剣を学ばんと欲する者は まず心より学べ

と、言っています。

仏教を学び、心学び、剣の修行をして、私は美しく生きたいとおもう。

そう思わない方の方が少ないでしょう。

美しく生きるために、私には私の出会った道があります。

皆さまには、美しく生きるための道が、お仕事であったり、芸術であったり、学問であったり、家庭を築くということであったりと、それぞれ種類が違いますが、人生という道を歩んで居られるはず。

今一度、美しく生きるということを意識して、自分の道を歩んでみてください。

美しい礼の仕方

美しい発声の仕方

美しい座り方・立ち方

美しい構え方

などを通して

美しい生き方を、新入社員さん達といっしょに、学んできたいとおもいます。

今週も お元氣で!

けいくう

☆☆

のぼる峠は けわしくも 憂き世の風は 寒くとも

お慈悲の中は 春びより 心もウララ 日もウララ

紺青の海 金色に におう光の あさぼらけ

ひれふしおがむ 大空に 今や日の出の 大日輪

                   (田中木叉上人道詠)

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☆おまけ☆

今日の日曜日の法話をyou tubeより見て頂けます。

今日は、「素直に念仏する」と言う題で佳奈尼が話しています。

いい絵が描ける方法、光と影の話など、興味深いです。

よろしければ、ご覧下さい。

少し時間が長いので、wifi環境などでの視聴をオススメします。

(m_m)

佳奈尼の話

付け足しの啓空住職の話