2016年2月更新

前田 武彦(まえだ たけひこ)さま

平成9年の秋。退職して帰省した頃、神戸でもオーム・サリン事件の余熱がいまだにくすぶり、オームに関連づけて「宗教とは何か」といった類の記事がマスコミの紙面を賑わせていました。
何時までこんな議論を繰り返しているのかとうんざりしたものですが、反面、宗教について知識も体験もなく、信仰心の薄い自分に、果たしてこれらの議論を批判する資格があるのかと自問を迫られました。
この未熟さと自己反省が通照院とのご縁がはじまる原点となりました。

散歩の途中にお寺の掲示板の内容に興味を引かれ、ダメ元でお寺の門を叩いてみようと思いましたが、寺についての予備知識も、紹介者も訪問予約も全くなしの飛び込み訪問のため、門前まで行っては引き返し逡巡を繰り返しました。お寺の敷居は想像以上に高く、かって経験した飛び込みセールスの何倍もの勇気が必要でした。

初めて、お寺の方に面会して、日曜行事への参加の可否を確認したところ「何時でも遠慮なくおいでください。お待ちしています。」との返事をいただきました。
それまで、張り詰めていた緊張が一瞬にして解かれたことが、つい昨日のことのように思い出されます。

それ以降、月1回の参加が、2回、3回となり、今では一週間の生活が日曜日の念仏会ではじまり、日々の念仏が日常生活の土台になっています。
すべて、如来さまのお導きとお慈悲のおかげと心から感謝しているこの頃です。

啓空より〜

前田さまが、お寺の門を叩かれてから、もう20年近くになります。
護持会の役員をお引き受けくださり、企画、会計担当を経て、現在は護持会副会長の任をつとめていただいています。
ご自身の経験から、地域に開かれたお寺を目指し、誰でも気軽に、お寺にお越しいただけるよう、住職を助けてくださっています。

毎月第2日曜日には、護持会文化部「さわやかクラブ」を主催。老後のいわゆる「お一人さま」の生活を充実したものにしてくださっています。
前田さまの文章をご覧になった通照院のご近所の皆さま、どうぞ続いて門を叩きにきてください。お待ちしています。

前田 武彦さま